税理士は文章化の技術を磨くことが必要 〜『読み手につたわる文章テクニカルライティング』mochikoAsTech著を読んで〜

税理士として仕事をするには、まずは税務の知識が必要なことは言うまでもありません。そして次に、その税務の知識をお客様にいかに分かりやすく伝えることができるかが重要です。

税理士になるまでには、資格試験や大学院という学びの場を通じて税務の知識をインプットする経験を積んできたので、知識を得ることはスムーズに着手できます。しかし一方で、税務の知識を分かりやすく人に伝えることに関しては経験値が少ないため税理士として社会に出た時にハードルとなります。

税務をお客様にわかりやすく伝えること。それは口頭に限らず文章でお伝えすることも含まれます。メールやチャットなどのデジタルツールを用いたコミュニケーションが活発となった現在では文章で伝えることの重要性はさらに高まってきているのではないでしょうか。

この現状を踏まえると、「文章で伝えるのは苦手」といった理由で文章で伝えることを諦め、そして文章化の技術を磨くことから逃げるのは難しいものと考えます。

税理士をする上で、自分のためお客様のために相手に伝わる文章化の技術を磨かなければならない。

その文章化の技術を磨く場として、ブログの発信に挑戦しています。しかし、ブログとして文章を書くことは苦労の連続で数々の障壁が立ちはだかりました。

例えば、書こうとしても一向に文章が出てこないこと、書き始めても途中から何について書いているのかを見失うこと、文章表現が硬くなってしまうこと、書いた内容が間違っていないか不安になること、書き終えるのに膨大な時間がかること等、数え出したらきりがないほど文章を書くには障壁があります。

この障壁に何度も挫けました。数年前にブログを始めましたが、いつまで経ってもこの障壁がクリアできずにブログ更新を諦めていた時期があります。

しかし、先述した通り、税理士を続けていく上で、自分のためお客様のために、相手に伝わる文章化の技術を磨くことは必須です。

そこで最近は文章化することへの考え方を変えました。それは、「文章を書くには必ず障壁があり、この先障壁がなくなることはない」と、つまり、文章化するには常に障壁があることを認めました。

そして、本書にあるように、「細かいことは気にせず、とにかくいっぱい読んでいっぱい書くこと」「完璧主義ではなく完成主義を目指すこと」「先に〆切を設定して先延ばしにできないような状況を作ること」この3点を意識して、文章化の技術を磨くことに挑戦し続け、お客様に分かりやすく伝えることができるように努めたい。

文章を書くことについてまだ自信がないのであれば、筆者からのアドバイスは「細かいことは気にせず、とにかくいっぱい読んでいっぱい書くといいよ」です。

いっぱい書くときに大事なのは、「完成させること」です。せっかく色々書いたとしても、中途半端な書きかけがブログの下書きにいっぱい溜まっていたり、思いついた構想ばかりがメモ書きとして積まれていたり、という結局誰にも読んでもらえない状態ではうまくなりません。完成度を求めた結果、いつまでも出来上がらない、完成させられない完璧主義はやめましょう。完成度にこだわりすぎず、とにかく完成させて世に出すことを優先しましょう。一度できあがって人目に触れる場所に出さないと、その次の改善するというステップにも進めません。

先に〆切を設定することが重要です。〆切もないのに何かを完成させられるほど我々の精神は成熟していません。あそこもここもおかしいし、本当は直したいし、もっとこういうことにも触れたかった、最初の構想と違って何もかも全然足りてないんだけど・・・一旦これを完成とする!と開き直るためには、自分では動かせない〆切が必要なのです。技術書典のようなイベントに申し込んだり、自社の技術ブログで「こんなことを書きたい」と手を挙げて、ずるずると先延ばしにできないような状況を作りましょう。