税理士業務、UBIとAIでどう変わるのか
マーク・フィッシャー氏の著書『ポスト資本主義の欲望』を読み、UBI(ユニバーサル・ベーシック・インカム)が私たちの働き方や社会に与える影響について深く考えさせられました。特に税理士業務という専門性の高い仕事においても、UBIは新たな可能性をもたらすのではないでしょうか。
UBIがもたらす税理士業務への変化
フィッシャー氏はUBIによって人々の精神が「ひっくり返る」と述べています。
UBIを手に入れれば、クソみたいな仕事をしなくて済むし、退屈な仕事もしなくて済むのだから。
これは、お金のために仕方なく働くのではなく、本当に価値のある仕事に集中できるようになることを意味します。
税理士業務においても、UBIがあれば、「報酬はそれほど大事なものになるでしょうか?」という問いが生まれます。目の前の業務をこなすだけでなく、お客様にとっても自分にとっても本当に価値のある仕事に取り組むことができるようになるのではないでしょうか。
UBIが変える税理士の姿勢
UBIは、下記のように税理士の仕事に対する姿勢をより積極的かつ貢献的なものへと変化させる可能性を秘めていると思います。
・経済的なプレッシャーから解放されることで、税理士は目先の利益にとらわれず、顧客の長期的な成長と成功を真摯にサポートできるようになります。よりお客様との信頼に基づく関係を築くことができるようになります。
・時間的余裕が生まれ、税法や関連知識のアップデートはもちろん、新たな分野への挑戦や、より専門性の高い資格取得など、自己成長を追求する機会が増えます。
・UBIは、税理士がその税務の専門家としての知識や経験を活かして、無償での相談会開催や情報発信など、地域への貢献活動に積極的に取り組むことを後押しすると思います。従来の仕事の枠を超え、税理士自身が無理をして犠牲になることなく社会の一員としての役割を積極的に果たせるようになります。
これらの変化は、税理士という職業を、「お金を稼ぐ手段」から、「お客様と社会に貢献する価値ある仕事」へとこれまで以上に昇華させる可能性を秘めています。
AIの進化と税理士業務
UBIが導入されたとしても、帳簿作成や税務申告といった「目の前の業務」は無くならないでしょう。しかし、これらの業務はAIの進化によって、大きく効率化される可能性があります。
既にAIは、データ入力や計算処理などの単純作業を自動化するだけでなく、税務書類の作成支援などの高度な業務にも活用され始めています。
AIが「目の前の業務」を担うようになれば、税理士はより高度な相談業務など、人間ならではの能力が求められる業務に時間を使い集中できるようになります。
UBIとAIが共にもたらす税理士業務の変化
UBIとAIの進化は、下記のように税理士業務を変革する可能性を秘めていると思います。
・UBIによって経済的な不安が軽減されれば、税理士は従来のフルタイム勤務だけでなく、短時間勤務をするなど、多様な働き方を選択できるようになります。
・AIが単純作業を担うことで、税理士はより専門性の高い知識やスキルを習得することが可能になり、お客様に高度なサービスを提供できるようになります。
・AIはあくまでもツールであり、最終的な判断や責任は人間が担います。そのため税理士は、お客様の意思決定の最後の一押しをするパートナーとしての役割がより求められるようになります。
まとめ
『ポスト資本主義の欲望』を参考に、UBIが税理士業務にもたらす変化と、税理士の新たな働き方について考えてみました。
UBIは、税理士が真に価値のある仕事に集中し、お客様や社会への貢献を追求できる未来をもたらす可能性を秘めています。「時間が足りない、それが現実です。それが、資本主義の仕業なのです!」というフィッシャー氏の言葉が、UBI導入の必要性を訴えかけています。さらにはAIの進化も、税理士がより創造的で人間らしい仕事にシフトすることを後押しすると思います。