「これでいいや」「実は好きじゃない」を克服する税理士の働き方

「これでいいや」で選ばないこと。「実は好きじゃない」を放置しないこと。

上記の文章は、安達茉莉子さんの著書『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』からの引用です。書籍の帯にも記載があり、この文章に惹かれて本書を手に取りました。

毎日、膨大な書類と数字に追われ、気づけば「これでいいや」と妥協していないでしょうか。例えば、新しい税制改正を深く理解せず、従来の知識で対応してしまうことや、面倒な業務を後回しにして、締め切りギリギリに対応するなど。

税理士の仕事は、専門性が高く責任も重大です。だからこそ、常に質の高いサービスを提供したいと願う一方で、日々の業務に忙殺され、理想と現実のギャップに悩むことが多いのではないでしょうか。

「これでいいや」で仕事をしない。「これでいいや」ではなく、自分にとって納得のいく仕事のやり方を追求したいものです。常に新しい税務知識や技術を習得することに努めることや、効率化につながるツールの導入など、自分を高めるアプローチで仕事をしていくことが必要なのではないでしょうか。これは、仕事に対する自分の納得感につながるとともに、お客様の満足感にもつながるものだと感じています。

また、「実は好きじゃない」仕事をしていないでしょうか。「実は好きじゃない」のにその気持ちを放置して仕事をしていないでしょうか。税理士業務は、会計はもちろんのこと、相続税申告における財産評価など会計から離れた業務があり、さらには、個人を対象とするのか法人を対象にするのか、不動産事業なのか農業なのか、株の売買取引なのか、土地建物の売買取引なのかによっても勝手が全く異なり税理士業務は多岐に渡ります。

このように膨大な範囲の業務全てに精通することは困難であり、向き不向き、得意不得意があるのは人間である限り当然なことと思います。

税理士になったからといってすべての仕事に取り組まなければならないわけではありません。例えば、不動産事業のサポート業務は苦手なのに、断れずに引き受けてしまうことなどないでしょうか。

「実は好きじゃない」範囲の業務は手放していい。得意な人に任せたり、効率化を図ったりすることで、ストレスを軽減し、自分が「好きな」仕事に集中し生産性を高めることができます。

「実は好きじゃない」気持ちに正直に向き合い「実は好きじゃない」を手放す。代わりに「好きな」仕事に全力で取り組む。このことが自分にとってもお客様にとっても好ましい方向につながると思います。

先に述べたように「これでいいや」で仕事をしないこと。「実は好きじゃない」を放置しないを実践するには一朝一夕にはいきません。焦ってはいけません。著者は下記のように述べています。

タイルを一枚だけでも磨いていくように、手が触れた簡所だけでも拭いていくように、少しずつでも手を入れていけば、必ずしも生活は全体として変わる。そんな生活が続いていき、やがて人生のトーンも変わっていく

焦らずに一つ一つ「タイルを一枚ずつ磨いていくように」仕事を進めていけば、いずれは「これでいいや」で仕事をしないこと「実は好きじゃない」を放置しないを実践することになると思います。このように税理士業務を改善していきたい。