縄文時代から学ぶ、税理士のあるべき姿
岡村道雄氏の著書『縄文の生活誌』を読みました。縄文時代の人々の暮らしぶりを知ることは、現代社会を生きる私たちにとっても多くの示唆を与えてくれると感じました。
子どもも含めて三十人ほどからなっていたが、彼らの遊動生活は、過酷で原始的であったとは必ずしもいえない。なぜなら、季節に応じて生活しやすい居住地を選ぶことができたからだ。暑いときには、涼しいところに移動した動物たちを追って高地へ、寒い季節にはより暖かい低地に下り、食べ物が豊富な土地に気軽に移動することもできた。また、集団間に軋轢が生じれば、別々に分かれて、気の合う者同士で気楽な生活を送った。これが旧石器時代を通して数万年以上も続いた生活様式であった。
縄文人は自然と共存し、社会の変化にも柔軟に対応しながら、独自の文化を築き上げてきました。
特に、集団間の調和や平等な社会構造といった要素は、現代社会、そして税理士業務においても重要な意味を持つのではないでしょうか?縄文時代の生活様式から得られる教訓を、税理士業務を通して考察し、税理士のあるべき姿について考えてみたいと思います。
集団間の調和(お客様との信頼関係構築)
縄文人は、集団間の軋轢を避けるために、必要に応じて集団を分割し、それぞれが独立して生活していました。これは、個々の集団の自主性を尊重し、互いに干渉しないという、現代社会に通じる考え方と言えるのではないでしょうか。
それぞれが独立した集団を形成しながらも、互いに交流し、協力し合うことで、より安定した社会を築いていたと考えられます。
税理士業務においても、お客様との信頼関係を構築することが何よりも重要です。お客様の意見を尊重し、丁寧なコミュニケーションを心がける、過度に干渉せず適切な距離感を意識することで、長期的な信頼関係を築くことができます。お客様の事業内容や経営状況、そして将来の展望をしっかりと理解し、その上で、お客様の要望に合わせて柔軟に対応することで、顧客満足度を高めることが可能になると思います。
平等な社会構造(お客様への公平な対応)
縄文社会では、上下関係を作らず、平等な人間関係を築くことに腐心していたと考えられています。
なぜ、環状に集落が作られたのか、以下のような解釈も成り立つであろう。円滑な人間関係を保ちたいときや集会をスムーズに運営したいとき、また居住地を設定する際、中心を空にしておくと平等を保ちやすく、”環”は、最も安定した構造といわれている。
これは、現代社会においても重要な価値観と言えるでしょう。税理士として、お客様に対しては、その規模や業種に関わらず、公平に対応することが重要です。また、納税者と課税当局との間に常に中立的な立場を保ち、法令に基づいた適切なアドバイスを提供することで、お客様からの信頼を得ることができます。
変化への対応(柔軟な思考と行動力)
縄文人は、環境の変化に合わせて柔軟に生活様式を変化させてきました。現代社会においても、変化のスピードは加速しており、税理士業務においても、常に新しい情報や技術を習得し、変化に対応していく必要があります。
今風にいえば、生活にゆとりがうまれたことの証しであろう。「もっといいものを、もっと大量に」「自分の所にない貴重なものを」手に入れたいという、欲望・物欲のなせる業ともいえるであろう。一方で、「自分の所にしかないものを、他の地域の人びとに分け与えたい、諸示したい」と考えるのは、人間の性ではなかろうか。縄文人は、集落周辺だけで自給自足の生活を送っていたわけではないのである。しかも、その範囲は、予想を超える広がりを持っていた。
例えば、AIやクラウド技術の活用は、税理士業務の効率化に大きく貢献することができます。実際にクラウド会計を活用することでAPI連携などの技術にも触れることになり税理士業務の効率化に貢献しています。また、模索中ですがChatGPTなどAI技術に触れることで税理士業務への活用を検討しています。税制改正にも、常に注意を払い、お客様に最新の情報提供を行うことが重要です。
これらのことを通じてお客様の事業環境の変化をいち早く察知し、先回りして提案を行うことによって、お客様のビジネスの成功をサポートしていくことも税理士には求められると思います。
まとめ
縄文時代の生活様式から、集団間の調和、平等な社会構造、変化への対応といった、現代社会においても重要な価値観を学ぶことができます。税理士として、これらの価値観を日々の業務に活かすことで、お客様へのより良いサービス提供を目指していくべきではないでしょうか。