税理士業務の進め方を変える 〜『先送り0(ゼロ)』jMatsuzaki & 佐々木正悟 著を読んで〜

「今日やることリスト」の作成方法と考え方

税理士業務を進める上では、これからやるべき業務の洗い出しが欠かせません。そこでまずは業務としてやること、やりたいことを挙げて、それを元に今日着手すべきことを抜き出し「今日やることリスト」を作成して日々の業務を進めるようにしています。

この「今日やることリスト」は、今ある業務に対して、いつ手をつけるべきか?優先順位は?どのくらい時間がかかりそうか?を見積もり作成しています。

「今日やることリスト」に沿って毎日の業務を進めていくのですが、なかなか思うようにいきません。リスト通りに業務が進み一日が終わることが稀で、リストどおりに進まないことが多いのです。

なぜ「今日やることリスト」通りに進まないのでしょうか。その理由は主に3点あると考えます。

一つ目は、見積もり時間を超えることが多いこと。

二つ目は、一日に多くの仕事を詰め込みすぎること。

三つ目は、リストにない突発的な仕事が入ること。

一つ目と二つ目に共通することは、いずれも「見積もり」が甘く、「見積もり」と「実績」の誤差が大きいことが原因でリスト通りに進まなくなっています。つまり、問題は「見積もり」にあります。

なぜ「見積もり」をすることがこんなにも難しいのでしょうか。それは、「見積もり」をする際に理想を求めてしまい。これぐらいできるはずだ、これぐらいやりたいという欲が入ってしまい、それが実績との大きな隔たりがあることが原因です。

この「見積もり」の甘さを改善するには、まず自分は実行することが困難な理想の見積もりを立ててしまう傾向にあることを認識すること、そして、実際にかかった時間のログを残し振り返ることで見積もりの正確性を上げることで対策をしていこうと考えます。

三つ目のリストにない突発的な仕事が入ることとは、業務の途中でお客様から連絡が入るなどリストに記載していない突発的な仕事が入ることです。

先に述べたように見積もりの甘さからただでさえリスト通りにいかないところ、突発的な仕事に対応するのであれば、リスト通りにすすめることなど夢のような話になってしまいます。

それでは、突発的な仕事が入ることを想定して時間を空けておけばいいのでしょうか。しかしこれも正しい対処の仕方ではないと考えます。なぜなら、突発的な仕事は必ずしも毎日のようにあるわけではないからです。

突発的な仕事に関しては、事前に分かるものではなく先に述べた2点のように自分で対策ができるものではありません。そのため自分の考え方を変える必要があります。

それは、「今日やることリスト」通りには進まないもの、進まなくても良いものと考え方を変えます。先に述べた2点の対策をした上で「今日やることリスト」を作成し、突発的な仕事が入りリストに挙げた一部の業務が完結しなくても良いものと発想を変えます。

とはいえ、リストに挙げた業務に全く手をつけないのではなく、その日のうちに1分でも着手し、着手さえできれば良いものと考えます。それは、少しでも着手できれば業務は進んでいることになり、翌日以降につながるからです。

一日の終わりに「今日やることリスト」を眺めた時、終わらなかった業務が目につき、思うように進まなかったことを悔やむのではなく、突発的な仕事が入ることを前提として考えて、リスト通りに思うようには進まないものであることを受け入れる。

残った業務のリストに着目し落ち込むのではなく、今日やったことに着目する。残った業務に関しても1分でも着手していればそれで良いものと考える。やれなかったことに着目して自分を責めるのではなく、今日やったことに着目して自分を褒め、明日に繋げる発想の転換をしていこうと考えます。

人は「願望」を「見積もり」だとかんちがいしがちです。 30分かかるはずの仕事を 10分で終わると考えたり、 1ヵ月後に締切を設けたプロジェクトにけっきょく 3ヵ月を要したりします。いずれも、見積もりと実績の誤差は 3倍です。脳というのはなぜか楽観的な見積もりをしてしまいます。実際に必要となる期間よりずっと早く終わると考えたり、簡単に形にできると空想したりしてしまいがちです。すぐに終わる、簡単にできると考えては、期限ギリギリまでぐずぐずと先送りして、あとでやればよいことについつい手を出してしまうのです。そして最後には先に送りようがないギリギリのタイミングまで自分を追い込んで、クオリティの低い仕事をどうにか完成させるということにもなりかねません。このように、頭で考えた安易な見積もりにみすみす苦しめられる

理想を描くより、できることを積み重ねる先送りゼロの習慣は、理想を描いてそれに一歩ずつ近付いていく方法とは、真逆のアプローチです。理想を描くのは一見するとうまいやり方に見えるのですが、実は「できていないこと」ばかりに目がいくネガティブなアプローチでもあるのです。先送りゼロの習慣は、「できること」と「できたこと」にフォーカスします。何を 1日で進めようとし、実際に着手できたかどうかを見える化するのです。自分の力量を見極め、「できること」に集中すれば着実に成果が積み上がるでしょう。 1日だけでは微々たる成果でも、 100日、 1年、 10年となれば大きな果実に成長します。いずれ理想を超えたものにまでなるでしょう。

プランは「現実的に」作られていることが前提ですが、そうはいっても想定外の割り込みがかなり多く発生するはずです。そのときプランから逸脱するのを怖がらないでください。実行順を入れ替えたり、見積もり時間よりも早く切り上げたり、場合によっては 1分着手ルールで乗りきる必要もあります。あの手この手を使って先送りゼロを目指していくゲームを楽しみながら 1日を過ごしてください。

 

「なるべく早く手をつけて少しずつ進める」ルールを徹底する

税理士業務には確定申告時期などの繁忙期があります。この繁忙期になると、目の前にある仕事の件数が増えるため、すべての仕事を同時に進め完成させることが困難であることから、着手が遅れがちになるときがあります。

たとえば、お客様から資料をお預かりしてもその時点では資料の中身を確認せず、落ち着いた段階で確認することがあります。

しかしこの時、着手して初めて資料の不足に気づくことがあり、もっと早くに依頼していればと後悔することがあります。資料をお預かりしてから時間が経っているのに、いまさらその不測資料の依頼をするのは心苦しものです。1分でもいいから着手する習慣を持っていれば、資料の不足に気づき、心苦しい思いをすることもなくなるのではないでしょうか。

まとまった時間を確保してから業務に着手し、一気に完了まで持っていくというやり方ではこのようなリスクを伴います。たった1分でもいいから着手する「なるべく早く手をつけて少しずつ進める」やり方に変えていこうと考えます。

仕事を進めるゴールデンルールは「なるべく早く手をつけて少しずつ進める」です。新しいプロジェクトや作業が発生したら可能な限り早く手をつけます。 5分でも 1分でもかまいません。

着手が早ければ、状況に応じて柔軟に動けます。早めに手をつけられると見通しも立ちやすくなります。意外に多くの課題に、手をつけてみて初めて直面して驚くものです。