税理士として周りからの評価の受け取り方 〜『喫茶店のディスクール』オオヤミノル著 を読んで〜

税理士は周りからの評価をどのように気にすべきか

SNSとか「食べログ」とかで、ボロカス書かれたとか言ってすごい落ち込んでる同業者とかいるのね。めっちゃ怒ってたりとか。でもあんなもんで潰れるの?店って。それに合わせることで逆につまらない店になるだけだよね。大体「食べログ」とかで点数の高い店に行ってみたら、不味くはないけど特別美味しくもない。概ね安くて量が多い、要するにコストパフォーマンスが高くて、客に寄り添ったような対応をしてくる店。自分に優しい店が好きなんだね。

周りからどう見られているだろうか、このことを気にせず生きていくことは難しいことなのではないでしょうか。

ましてや、税理士として独立開業したのであれば、周りからの評価とはつまりお客様からの評価であるから気にすべきものと考えます。なぜなら、お客様がいなければ、商売が成り立たず生活が出来なくなるものだから、周りからの評価は気にすべきものであり大事なものです。

周りからの評価を知る一つのツールとして、ネット上の情報があります。

ネット上の情報は、周りからどうみられているのか、全世界に向けてその評価が可視化されるため、商売をする上では意識することが多いものです。ましてや、スマホが普及している昨今では、何をするにもネットで検索することが多くなり、その状況からみても、ネット上の評価は関係ないという考え方は現実的ではないと考えます。

とはいえ、「ネット上の評価が全てではない」ことを忘れないようにしたいものです。なぜなら、ネット上の評価は、偏った見方であることや、評価される側としては身に覚えのない評価があったりするなど、不確実な評価情報も存在するからです。

では、ネット上の情報が不確実な要素を含むから参考にならないのかというと、そうともいえないと思います。ネット以外の場、たとえば紙媒体であっても、人伝てに聞く評価であっても公正な評価をすることは難しい。ネットであれなんであれ、公正な評価というものは不可能なものと考えます。

評価される側である税理士、評価する側であるお客様、評価を参考にする側である将来のお客様、それぞれがネット上の情報を含め、様々な場での評価は確実なものではないことを認識した上で参考にすべきものなのでしょう。

そして、税理士は、ネット上の評価を参考にしつつ、なによりも目の前にいるお客様に評価されることをひとつづつ積み上げていくことが大切なことと考えます。

 

「顧問先が税理士に求めていること」の再確認

余計なことを話してハートを掴んだり掴まれたりするようなことでも、職人っぽい雰囲気を押し出したりして尊敬されることでもなく、普通にお客さんが求める商品のことをきちんと説明するというやり取りだけで十分成立するんじゃないかなって。あまりにもそれをやっている珈琲屋が少ない気がしたのね。だからこのやり方でやろうと決心して、かなり頑張って顧客に対して手紙を書いていた。

税理士として独立開業している限り、顧問先から求められる税理士でありたいと願うのは普通のことと思います。

そのために、試行錯誤し顧問先に気に入られようとするのですが、良かれと思って試行錯誤する方向性が顧問先が求めるものとズレてしまう恐れがあります。

顧問先のために研鑽を積み工夫することはもちろん重要ではありますが、顧問先は税理士に複雑なことを求めているのではなく、基本的なことを、わかりやすく、確実に行うことを求めているのではないでしょうか。つまり、当たり前のことを当たり前にやることを求めています。

税理士は税務の専門家であり税務の知識があるがゆえに、研鑽を積もうとすると細かい論点に目が行きがちです。専門家たるもの知識の多さが良きこと、知識が多ければ顧問先から求められるかのように思いますが、知識量よりも、まずは基本的なことを顧問先にわかりやすく伝える力が重要で、知識量は二の次です。

なぜなら、顧問先にとっては自分に関係し影響が大きい基本的な部分が重要であり、細かい論点は、自分には当てはまらないものであったり、当てはまるとしても影響が少ないものであったりします。だからなによりも優先すべきは、当たり前とされる基本的なことを大事にし、当たり前の基本的なことをわかりやすく丁寧に伝えること、この当たり前の部分の伝え方が重要であり、ここが顧問先にとって求めるところなのではないかと考えます。

顧問先から求められる税理士でありたいと願うのであれば、「顧問先が税理士に求めていること」を常に再確認しながら研鑽していきたい。